【野田市】東京理科大学の生徒が世界へ。”塩害から植物を守ること”をテーマに、合成生物学の世界大会に挑戦!

千葉県

東京理科大学の学生たちが、世界を舞台にした大きな挑戦を続けています!
東京理科大学の学生を中心に活動する学生団体「坊ちゃんLab.」のメンバーで構成されたチーム「iGEM TUS-Japan」が、合成生物学の世界大会「iGEM 2026」への出場を目指して活動しています。研究テーマを考えるところから、実験、数理モデルの構築、安全性の検討、企業や研究者へのヒアリングまで、学生たち自身の手でプロジェクトを進めています。

世界中の学生が集まる「iGEM」って?

「iGEM(International Genetically Engineered Machine Competition)」とは、世界中の学生が参加する合成生物学の国際大会です。
「合成生物学」と聞くと少し難しく感じるかもしれませんが、生物が持つ仕組みを理解し、遺伝子や微生物などを活用して、社会が抱えるさまざまな課題の解決を目指す研究分野です。iGEMの大きな特徴は、学生たちが自分たちで社会課題を見つけ、研究テーマを考えるところからプロジェクトを立ち上げることです。
「iGEM TUS-Japan」でも、実験を行うWet班、数理モデルやシミュレーションを担当するDry班、デバイス開発を担うHardware班、研究と社会とのつながりを考えるHuman Practice班などが連携しています。
学部・学科の垣根を越えて集まった学生たちが、それぞれの知識やアイデアを持ち寄りながら、一つの研究プロジェクトを作り上げています。

東京理科大生が挑むのは、世界の農業を悩ませる「塩害」

2026年東京理科大

進行している塩害の様子(提供画像)

「iGEM TUS-Japan」が2026年に取り組んでいるテーマは、農業における「塩害」です。土壌に塩分が蓄積すると、植物は大きなストレスを受け、生育が妨げられてしまいます。世界各地で農作物への影響が問題となっている課題の一つです。
肥料をさらに与える、水はけを改善する、土壌を改良する――。さまざまな対策が考えられる中、学生たちが着目したのが「合成生物学(Synthetic Biology)」でした。
合成生物学とは、生物の仕組みを理解するだけではなく、その仕組みを利用して新しい機能を持つ生物システムなどを設計する研究分野です。
学生たちが考えているのは、植物が過剰なストレスを受けたことを検知し、そのときに必要な働きをする微生物です。
植物はストレスを受けると「エチレン」と呼ばれる植物ホルモンを生成します。そこで、植物の根の周辺にいる微生物に合成生物学の技術を組み合わせ、植物のストレスに応じて働く仕組みの構築を目指しています。つまり、常に何かを与え続けるのではなく、植物からの「助けて!」というサインを微生物がキャッチして働くような仕組みを研究しているのです。
さらに学生たちが考えているのは、研究室の中で機能する技術を作ることだけではありません。遺伝子組換え微生物を環境中で利用することを想定すると、安全性についても考える必要があります。そのため、微生物をゲルの中に保持する方法や、環境中への拡散を防ぐための仕組みなどについても検討しています。
学生たちが掲げるのは、「物理・化学的手法で土壌を守り、SynBioで植物を守る」という未来です。
合成生物学だけですべてを解決しようとするのではなく、既存の方法と新しい生物学的なアプローチを組み合わせながら、塩害という大きな農業課題への新たな解決策を模索しています。

■ 研究テーマを決めたのも学生たち
今回の研究テーマは、先生から与えられたものではありません。
学生たち自身が社会課題について調べ、「自分たちはどんな問題に挑戦するのか」「合成生物学を使ってどのように解決できるのか」と議論するところからスタートしました。
実験が思うように進まなければ原因を考え、もう一度挑戦する。分からないことがあれば論文を読み、必要に応じて研究者や企業などにも自分たちから話を聞く。
研究テーマの立案から実験、解析、発表まで、学生主体でプロジェクトを進めています。
また、研究は東京理科大学生物安全委員会の承認を得て実施し、遺伝子組換え生物等は関連法令・ガイドラインに沿って取り扱っています。

2026年東京理科大

普段の実験の様子。カビなどが入らないようクリーンベンチという装置の中で実験をしています(提供画像)

2026年東京理科大

実験だけではなく数理解析もしています(提供画像)

■ 前回の悔しさを胸に「金賞」を目指す
「坊ちゃんLab.」は2024年度にもiGEMの世界大会に挑戦しました。
当時の研究テーマは、遺伝子組換え大腸菌を利用した、腸内炎症を非侵襲的に診断する技術の開発でした。
世界各国から集まった学生たちと交流し、世界レベルの研究を肌で感じる一方、メダルにはあと一歩届かなかったそうです。その経験を原動力に、2026年度は「金賞」の獲得を目標に掲げています。学生たちが目指しているのは、ただパリへ行くことではありません。
自分たちが積み重ねてきた研究を世界の舞台へ持っていき、世界中の学生や研究者を相手に「自分たちの研究がどこまで通用するのか」に挑戦します。

2026年東京理科大

画像はイメージです

■ 世界大会への渡航費を募るクラウドファンディングも
一方、世界大会への挑戦には大きな費用も必要です。日々の実験に必要な試薬や器具のほか、大会への登録費、航空券など、学生だけでは負担の大きな費用がかかります。
大学からの支援を受けながら活動していますが、特にパリへの渡航に必要な航空券代は学生個人の負担が大きいといいます。
そのためクラウドファンディングを実施しています。
【クラウドファンディングはこちら】こちらでも学生たちの活動がご覧いただけます。
「【理科大×世界大会】合成生物学で塩害問題に挑戦!iGEM金賞プロジェクト」
1,000円から支援することができ、お礼メールや活動報告書、パリ大会の様子を収録した動画、オリジナルステッカーなど、支援金額に応じたさまざまなリターンも用意されています。

野田から世界へ!

東京理科大学野田キャンパスを中心に研究活動を続けている学生たち。
自分たちで社会課題を見つけ、研究テーマを考え、実験を重ね、今度はその成果を世界の舞台へ持っていこうとしています。世界的な農業課題である「塩害」に、合成生物学という新しいアプローチで挑む東京理科大学の学生たち。「iGEM TUS-Japan」の挑戦を、地域から応援してみてはいかがでしょうか。

2026年東京理科大

今回のプロジェクトの皆さん(提供画像)

2026年東京理科大

取材にご協力してくれた「坊ちゃんLab.」のメンバーの大野さん

※取材対応に協力してくれた大野さん、ありがとうございました。

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