【流山市】「やめるべきか…」の先に見つけたヒント。「Nまちデザイン」が目指す地域活性化の形とは？

流山市のまちづくり団体「Nまちデザイン」。市内の隠れた公共空間、民間遊休不動産、人材を発掘し、公民連携による地域活性化を目指して、2022年12月に設立されました。

Nまちデザイン初期メンバーのみなさま

実は、Nまちデザインのメインメンバーは、全員流山市役所の職員です。そこから、どのようにして活動が始まり、どんな想いで活動しているのかーー苅込さん、西山さん、飯田さんの3名にお話しを伺いました。

左から：飯田さん、苅込さん、西山さん

ーNまちデザインの設立背景について教えてください。

「もともと、流山市の職員として、街づくりには携わってきたのですが、その中で、やはり踏み込めない範囲や関係性があり、もどかしさを感じていました。そういった部分を解決できるような、もう少し違った形で街づくりに関われないかなと思い、同じ想いを抱えていた同僚とＮまちデザインを立ち上げました。」（苅込さん）

「具体的な例を挙げると、現在、定期開催している『NorthsquareMarket』のようなイベントを開催するにも、より自由度が高く、できることの可能性が広がっていくのは、おもしろそうだなと感じました。」（西山さん）

ー実際にどのような活動を行っていますか？

「流山市内の公共空間や遊休不動産を発掘して、公民連携による地域活性化とエリアの価値を高めることを目的とした活動を行っています。各メディアでも度々注目されているように流山おおたかの森エリアは、子育て世代を中心に人口が増加しています。一方、エリアによっては、今後、人口減少が見込まれ、小学校の統廃合の可能性があります。将来的に誕生した廃校をどうしていくか、民間施設として活用できる場所にできないかといったことも課題として考えています。」（飯田さん）

「まだまだ、勉強中でもあり、先日は岡山県津山市の成功事例の視察にも行ってきました。経営難で閉館した県営プールをリノベーションし、民間のスポーツジムとして活用されていました。流山市でも、活かせそうな事例だと思い、具体的なお話を伺ってきました。」（西山さん）

ー流山おおたかの森駅北口での「NorthsquareMarket」も地域活性化の一つですか？

「流山おおたかの森駅前に関して言えば、ショッピングセンターがある南口はイベントの開催も多く、非常に賑わっています。一方で、北口はまだまだ活用の余地があると感じていました。そこで、周辺施設や市に提案を行い、地域住民を含む、皆さんのご協力も得て、『NorthsquareMarket』の開催を実現することができました。」（苅込さん）

「ただ、単発のイベントではなく、『日常にこういう場がある。ここに行けば、この人たちに会える。』というような地域に根付いた、存在感のあるものにしたいと思っていました。」（飯田さん）

ー最近では、かなり工夫をこらした内容になり、パワーアップしていますよね。

「実は、一回目は順調でしたが、その後は天候の影響や告知不足もあって、来場者数が減少傾向となりました。『Northsquare Market』を、より意味のあるものにしていくため、やめるかどうかも含めてメンバーで話し合い、『どうしたらもっと来てもらえるか』を改めて考えました。その過程で、私たち自身のやりがいや活動の意義を再確認する必要があると感じました。」（苅込さん）

「それと同時にイベント告知チラシのポスティングや、回ごとのテーマ設定に力を入れるようにし、少しずつ成果に結びついてきているかなと感じています。自治会長さんや周辺施設の方が理解し、応援してくれているという部分も非常に大きいですね。」（西山さん）

ー特に印象的だったテーマや企画はありますか？

「『お月見ナイト』では、満月をテーマにした食べ物や仮装を取り入れるなど、特別感を演出し、出店者にもイベントを盛り上げてもらいました。また、地元の農家さんと連携した企画として、ファーム根本さんのイチジクや森田農園のビーツを使ったディップソースを開発し、それに合う一品を各出店者に考案してもらい、セットで販売しました。この企画は非常に好評で、完売はもちろん、『すごくいい企画だった！』との声もいただきました。最近は、こうした取り組みを通じてコンセプトをより明確にし、私たち自身のモチベーション向上にもつながっています。」（飯田さん）

過去開催の様子

ー今後の課題や取り組んでいきたい内容について教えてください。

「現在の会場はスペースで限りがあるため、今後はイベント会場そのものだけでなく、周辺の飲食店なども巻き込み、駅周辺全体に効果を広げていきたいと考えています。また、近くにある芝生エリアも活用し、ワークショップなどを実施することで、空間全体に一体感を持たせた形を目指していきたいと思っています。将来的には、私たち以外にも同じような活動をする団体が現れ、たとえ私たちが活動を続けられなくなったとしても、この場所が活性化し、継続的に利用される場になれば嬉しいです。」（苅込さん）